勘定科目「貯蔵品」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「貯蔵品」(読み仮名:ちょぞうひん、分類:流動資産)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
貯蔵品とは
「貯蔵品」とは、企業が業務を行うために保有する消耗品や材料、備品などのうち、直接的には製品の一部とはならないものや、そのままでは販売を目的としない物品のことを指します。貯蔵品は、消耗品や備品、資材などの形で企業が持つ資産で、一般に短期間で使用されるものが多いです。例えば、オフィスで使われる紙や文房具、製造現場で使われる潤滑油や工具、修理用のパーツなどが貯蔵品として扱われます。貯蔵品は、貸借対照表の資産の部に計上され、消耗された分を経費として処理することで、経費計上のタイミングと実際の支出のタイミングを適切に管理できます。
貯蔵品には以下のような項目が含まれます:
- 消耗品:紙やインク、クリップなどのオフィス用品
- 備品:社内での運用や使用を目的とした小規模な道具や器具
- 修理資材:機械や設備のメンテナンスのためのパーツ
- 補助材料:製造工程に必要だが製品の一部とはならない材料や潤滑油など
これらの貯蔵品は、一度購入された際には「貯蔵品」として計上され、使用されるたびに費用に振り替えられることで、企業の消耗品や備品の使用状況が管理されます。企業にとっては、貯蔵品の適切な管理が、消耗品費や修理費などの経費の正確な把握に役立ち、財務管理の精度向上に貢献します。
貯蔵品はどのような時に使用されるのか
貯蔵品は、以下のような場合に使用されます。
- 業務に必要な消耗品の使用
例えば、オフィスのペーパーやインクなどが消耗される場合、それにかかった費用が経費として処理されます。消耗品の購入は「貯蔵品」として計上され、使用する際に経費へ振り替えられます。 - 修理・メンテナンス用の資材の使用
機械の修理に使用する小さなパーツや潤滑油などの貯蔵品は、修理作業の際に消費され、その分が修繕費として計上されます。 - 製造や作業のための補助材料としての使用
製造工程で直接製品の一部にはならないが、作業上必要な材料(例えば潤滑油や特定の溶剤など)は貯蔵品として保有され、使用された分だけが経費となります。 - オフィス備品の購入と使用
オフィスで使用する消耗品の購入は貯蔵品として扱い、消費した分を経費とすることで、在庫としての管理と経費の把握が可能です。
貯蔵品は購入の際に「貯蔵品」として資産計上され、実際に使用された時点で消耗品費や修繕費などに振り替えることで、費用の計上が使用タイミングに基づく正確なものになります。これにより、資産管理と経費管理の両面が適切に行われ、企業の財務管理の精度が向上します。
貯蔵品の仕分例
「貯蔵品」を使った具体的な仕分例です。
貯蔵品を現金で購入した
貯蔵品を現金で30,000円分購入した場合:
借方:貯蔵品 30,000円 / 貸方:現金 30,000円
(説明:消耗品や補助材料としての貯蔵品を購入しました)
オフィスの消耗品を使用した
オフィスの消耗品(10,000円分)を使用した場合:
借方:消耗品費 10,000円 / 貸方:貯蔵品 10,000円
(説明:オフィスの消耗品を消費し、貯蔵品から消耗品費に振り替えました)
製造現場で修理用の部品を使用した
製造現場で修理用の部品5,000円分を使用した場合:
借方:修繕費 5,000円 / 貸方:貯蔵品 5,000円
(説明:修理作業のために貯蔵品としての修理用部品を消費しました)
補助材料を製造工程で使用した
補助材料の潤滑油15,000円分を製造工程で使用した場合:
借方:製造間接費 15,000円 / 貸方:貯蔵品 15,000円
(説明:製造工程での使用のために補助材料の潤滑油を消費しました)
備品購入として貯蔵品に計上した分を消耗品費に振り替えた
備品購入として貯蔵品に計上した10,000円分を消耗品費に振り替えた場合:
借方:消耗品費 10,000円 / 貸方:貯蔵品 10,000円
(説明:使用された備品を消耗品費に振り替えました)
月末に残っている貯蔵品を実地棚卸し、未使用であったため調整した
月末に残っている貯蔵品を実地棚卸しし、5,000円分が未使用であったため調整した場合:
借方:消耗品費 5,000円 / 貸方:貯蔵品 5,000円
(説明:月末の棚卸しにより、消費されなかった貯蔵品を消耗品費に調整しました)
著者 / Tommy Ikura
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