勘定科目「社債」に関する解説と仕分例
勘定科目の一つである「社債」(読み仮名:しゃさい、分類:固定負債)に関する解説です。勘定科目に関する解説を行ったあと、勘定科目を使った仕訳例を使って実際の仕分の仕方を解説します。
社債とは
「社債」とは、企業が資金調達を目的として発行する債券のことです。企業は設備投資や運転資金、事業拡大などのためにまとまった資金が必要な場合、社債を発行して資金を借り入れます。社債を発行する企業は借り手となり、社債を購入する投資家は貸し手となります。社債の発行により、企業は投資家から資金を調達し、一定期間後に元本を返済し、その間は利息(クーポン)を支払います。
社債は一般に「固定利付社債」「変動利付社債」「割引社債」などの種類があり、償還期間や利息支払方法は発行時に定められます。社債を発行する際、発行価格や利率、償還方法、利息の支払いスケジュールなどは社債の契約条件に基づいて決定されます。社債は負債として企業の貸借対照表に計上され、社債発行費用や利息は発行コストとして会計処理されます。また、社債は企業にとって銀行借入などの他の資金調達手段と比べて金利が低く、資金調達方法の一つとして重要な位置づけを持ちます。
社債はどのような時に使用されるのか
社債が使用されるのは、主に以下のような状況です。
- 設備投資や事業拡大のための資金調達
企業は新しい設備投資や大規模なプロジェクトに必要な資金を確保するために社債を発行することがあります。社債は銀行借入に代わる資金調達手段として活用され、事業の拡大に伴う大きな資金を調達するのに適しています。 - 資金繰りの安定化
社債を発行することで企業は資金繰りの安定を図り、長期的な資金を確保できます。特に低金利での発行が可能な場合、資金繰りの安定化に役立ちます。 - 既存の負債の借り換え
既存の高金利負債の借り換えとして社債を発行することもあります。これにより、借入コストを抑えると同時に、資金繰りが改善されます。 - 社債発行による利息支払義務
社債を発行した企業は、定期的に投資家に利息を支払い、最終的に元本を償還しなければなりません。社債の返済計画に従い、定期的な利息支払義務が発生します。
社債の仕分例
「社債」を使った具体的な仕分例です。
社債を発行し、発行価格が額面通りであった
100,000,000円の社債を発行し、発行価格が額面通りであった場合:
借方:現金 100,000,000円 / 貸方:社債 100,000,000円
(説明:額面通りの価格で社債を発行し、現金を受け取りました)
社債を額面価格の98%で発行した場合(割引発行)
100,000,000円の社債を額面価格の98%で発行した場合:
借方:現金 98,000,000円 / 貸方:社債 100,000,000円 借方:社債発行差金 2,000,000円
(説明:割引発行により、社債発行差金を計上しました)
社債発行時にかかった発行費用を計上する
社債発行時にかかった発行費用1,000,000円を計上する場合:
借方:社債発行費 1,000,000円 / 貸方:現金 1,000,000円
(説明:社債発行時に発生した発行費用を計上しました)
発行後、毎年利息を支払った
発行後、毎年の利息支払いとして年5,000,000円の利息を支払った場合:
借方:支払利息 5,000,000円 / 貸方:現金 5,000,000円
(説明:社債に対する利息を支払いました)
社債を期中に償還した
社債を期中に50,000,000円分償還した場合:
借方:社債 50,000,000円 / 貸方:現金 50,000,000円
(説明:発行した社債の一部を償還しました)
社債の償還にともない社債発行差金を償却した
社債の償還にともない社債発行差金2,000,000円を償却した場合:
借方:社債発行差金償却 2,000,000円 / 貸方:社債発行差金 2,000,000円
(説明:社債の償還に伴い、発行差金を償却しました)
社債発行後、満期に全額償還した
社債発行後、満期に100,000,000円を全額償還した場合:
借方:社債 100,000,000円 / 貸方:現金 100,000,000円
(説明:社債の満期償還を行い、全額返済しました)
著者 / Tommy Ikura
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